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ジェイ・マキナニー/モデル・ビヘイヴィア

ジェイ・マキナニー/モデル・ビヘイヴィア
ジェイ・マキナニーの「モデル・ビヘイヴィア(1999年、翻訳:金原瑞人、アーティストハウス)」を読むのに僕は1か月を必要とした。
小説自体は決して難しい内容というわけでもなく、金原瑞人の翻訳に違和感があるわけでもなく、それは僕のゴミ箱に捨てきれないほどの雑念や雑事に起因するもので、小説の価値には一切関係ないし、これをもって、この小説がジェイ・マキナニーの他の作品が受け入れにくいと判断することはやめて欲しい。
一人称、二人称現在形、三人称と主人公の語り口が変化するのが、読みにくい原因でもない。

単に個人的な事情によって、読むのに時間がかかっただけです。

「第27回すばる文学賞」受賞作品「蛇にピアス」を書いてデビューした金原ひとみは翻訳者の金原瑞人の実娘であることも今回の内容に全く関係ない。

ジェイ・マキナニーは1984年の作品「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」でデビューし、のちにマイケル・J・フォックス主演で映画化されたのだけれど、このblogを書くに当たって少しばかり調べたところ、この「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」という映画、どういうわけかDVD化されていない。
なぜだ?

また、「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」は2009年には映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)がジョシュ・シュワルツを監督に迎え、再映画化すると発表したようだけれど、このMGMが2010年11月の破産法を申請し、経営再建中なので、リメイク版の話の行方を僕は知らない。
これも「モデル・ビヘイヴィア」には関係ない話。

ジェイ・マキナニーの小説を僕が読んだのはこの「モデル・ビヘイヴィア」が初めて。
デビュー作の「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」も読んでいない。「ブライト・ライツ、ビッグ・シティ」を読まなかったのは日本で刊行された当時、「世界的大ベストセラー」としてあまりにも話題になりすぎ、僕の「読書リスト」から外してしまったのかもしれない。

「モデル・ビヘイヴィア」は自らの才能と存在に自信をなくしたファッション業界でライター努めるコナーという男の物語。

“新しい存在学においては、いかなるものも映画のフィルム(またはビデオテープ)で再現されないものは存在しないものとする”

“人生にささやかな中身を探しているんだと思うよ。だれだってそうだろう?”

というわけで、人はそれぞれのポケットにしまっておけるような煩悩から抱えきれない大きな心配事まで日々苦しんでいるだと登場人物に語らせ、ささやかな絶望が小説全体を覆っているのだけれど、会話のリズム、物語の展開ともにとても優れた作品(文体は金原瑞人の功績による)だと個人的に思う。

ジェイ・マキナニーの作品に関しては2000年以降に書かれた小説は日本語訳で出版されていない。
どうしてだ?

「金原瑞人さん、お願いです。あなたがジェイ・マキナニーを好きなら、全て翻訳し直して、出版してください。ほんとーにお願いします」

* blog内、全て敬称略です。

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