1974年に女のコからもらった「愛国から幸福ゆき」の旧国鉄時代の切符。
今だって、僕には「愛」と「幸福」というモノに答えを見いだしていないというのに、1974年の僕には「愛」も「幸福」も落ち着かない気分にさせる手に余るモノだった。
この切符をくれた僕に好意を寄せていた女のコには申し訳ないのだけれど、僕はその女のコがどのような人だったのか少しも覚えていない。
愛国駅発行のこの切符の裏面には「旅に出た そこに愛(国)があった そして幸福に連れていった -愛国駅-」と書かれている(スタンプが鮮明でないので、少々、憶測で書いている)。
「キミのことはすっかり忘れてしまったけれど、キミからこの切符を少なからず照れを含んでもらったこととキミがそのとき僕に抱いていた好意、そしてそのときキミという人が存在していたことを覚えているよ。いまだに愛や幸福についてうまく説明ことはできないけれどね」
1974年のほんの小さな愛と幸福の破片です。