“雪を語る きりがみね”
和紙風の素材に版画の技法で作られたと思われるマッチラベルです。
冬の雪深い風景が魅力的だったのでしょう。
長野県諏訪市上諏訪に、霧ヶ峰ホテルは1951(昭和26)年開業しました。その後、建物は1972(昭和47)年に建て替えられ、2011(平成23)年、廃業となりました。
マッチ箱に貼ってあるラベルにはそれぞれ”山に縛られた若人の店 秀山荘 東京中央区八重洲口”、”新館落成 ホタカの下のホッタテ小屋 横尾山荘へ 小屋バン人畜無害”という文字が並び、ロープで縛られ、吊るされる「青い男」と小屋の窓の縁に両手をおいて外を眺める「番人」が描かれています。
“若人”は「わこうど」と読みますが、僕は過去に(「昭和」という時代に)聞いたことがありますが、使ったことのない言葉です。
“人畜無害”は「人や家畜に何の害も悪影響も与える恐れがないこと」という意味より、「(多くは、皮肉や侮蔑の意を込めて)他に何の影響も及ぼさないような、平凡でとりえのない人」を指しますが、「僕はぜんぜん危険じゃないから。女のコと一緒にいても急に覆いかぶさったり、キスしたりしないからね」という「女性にとって危険でない男性のこと」を自虐的に表現したするのに特化して使ったのが「昭和」という時代なのです。
僕は「人畜無害」ではありませんのでご注意を。
埼玉県狭山市が発行する「広報さやま 2000年(平成12年8月10日号)」に”ロクシー”の名前を見つけたので、引用、補足しながらまとめると「1952(昭和27)年、東京・赤坂にロクシーベーカリーが設立され、店舗は六本木、日本橋、軽井沢。日本で初めて洋菓子教室を開いた」ということになります。
マッチ箱の背に当たる部分に印刷された”赤坂本店・六本木支店・日本橋支店・自由ヶ丘支店・軽井沢支店”と一致します。
製菓実験社が1958年に出版した「製菓製パン = The journal of baking and confection:全日本菓業新聞連盟加盟誌 24(4)」では”口絵 グラフ 菓業人の横顔”に”春の結婚シーズンに備えて – 豪華なウェディング・ケーキ「東京・赤坂・ロクシー」”が載っているようです。
マッチ箱には OPEN KITCHIN GRILL&BAR “ROXY” とも印刷されていますが、”KITCHIN”は正しくは”KITCHEN”ですね。
六本木交叉点にあった”グリル ロクシー”に触れた記述を見つけることはできませんでしたが、多くの人の記憶に残る店であったのでしょう。