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雑文

2003年9月30日は火曜日だったんだね。

2003年9月30日は火曜日だったんだね。
“お世話になった皆様へ

社内使用のパソコンを初期化、出荷時の状態に戻しましたので、「hotmail」にて失礼いたします。

「この度、9月末日をもって退職いたします」と堅苦しく挨拶文を書いて、「はい、さよーなら」ってのは得意じゃないので、僕らしく、退職の挨拶にします。

僕が今の座席で仕事をするのも、皆さんと共に仕事をするのも今日で終わりです。

静かに去って行くつもりでした。
誰にも知られることなく、去って行くつもりでした。

「ドラマ」のように「届け出を出したら、退職っていうものがすぐに可能」かと思っていましたが、そんなことはありません。
手続きは結構面倒で、いろんな人の手を煩わせます。
そんなわけで、誰にも知らせず、退職することは結局できませんでした。

今まで、会社に残っていることができたのは、皆様のご厚意と感謝しています。

まったくもって、変なやつだったかもしれません。
いつかどこかで、ご拝眉の機会がありましたらお声をかけて頂ければ幸いです。
皆様のご健勝を祈念致しまして、ご挨拶といたします。

本当にありがとうございました。”

ある事情で、僕は自分の職務経歴を洗い出す必要があった。
2003年9月30日、僕はシステムエンジニアとして、システム構築より、汎用機からサーバー、パーソナル・コンピューターやネットワーク、構築されたシステムのあらゆるトラブル対応を担当することのほうが多かった職を辞した。その日が火曜日だったことも覚えていない。

数えることができそうな親しくしていた社内の関係者に送ったメール。

僕が会社を辞めることを知らなかった営業職の先輩が僕のそばにやってきて、「どうして、一言相談してくれなかった? これからどうする?」と言い終わらないうちに彼は物理的に背を向ける。
彼は顔をほんとうに真っ赤にして、僕を拳で殴りそうな勢いでやってきて、僕の顔を見て、あきらめたように立ち去る。

相談できなかったし、できる状態でもなかった。

その日、会社の窓から見えたであろう空のことも覚えていない。