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退屈にさせていない?

退屈にさせていない?


“「ねえ、もしあたしがちょっと泣いたりしたら、あなた気になさる?」と彼女は言った。
「ぼく、あなたを退屈させてるんじゃないかしら」と、彼はあわててこたえた。”

フランシス・スコット・フィッツジェラルドの1960年の短編集「雨の朝パリに死す」の中に収められている「冬の夢」からの引用。
引き算ですぐに何年前と僕には答えられないくらい前に読んだので、文庫本の表紙も僕の記憶から再生することはできない上、翻訳者も出版社も書き留めていないのだけれど、実家にはおそらくまだ本棚の奥に置いてあるような気がする。
リチャード・ブルックスが監督した1954年の映画化作品を観たような記憶があるのだけれど、それも定かではない。

空は薄い青色。風が涼しいさを運んでくる午後。
天気を除けば、2013年6月2日が複写されたような、調子が振るわない、抑鬱的な1日。
立ち上がることさえ拒否し、明日も今日と同じであることを僕は不安に思っているのだけれど。

引用した部分は少しばかり、落ち着かない気分にさせる翻訳かもしれない。
そして、それ以上に、僕はキミが泣くことで、キミを退屈にさせているんじゃないかと不安になる程度の文章しか書くことできない。
退屈にさせているなら謝るよ。

* blog内、全て敬称略です。