



ブックマッチの歪みはポケットに入れることが容易だってことの証拠でもある、と僕は思っていて、10本あるうちの7本使った僕ではない誰かはパンツの後ろポケットに入れたまま(前ポケットならもっと大きな曲線とシワが生じるはずだから)、651系車輛(たぶん…)の特急「スーパーひたち」に乗って席についたか、駅のベンチに座ったか、最寄り駅からタクシーに乗った、と考えてみたが、そうではなく、よほど乱暴に紙軸のマッチ棒を引き離す事情があったのかもしれない。
「スーパーひたち」がJR東日本「上野 – 仙台」に登場したのは1989年3月11日。
ということは「昭和」という時代は終わり、時代は「令和」のひとつ前「平成」ということになる。
もう広告としては消費され、ブックマッチとしても7本を消費され、どこの駅で乗ってどこの駅で降りたのかということよりも、僕の知らない誰かは、少なくともポケットから出すことは忘れなかったのだろう、と想像する。
このブックマッチはたくさん作られ、裏面に印刷された6店舗に置いてあったということになりそう。一度に3つくらい持って帰っても注意されることはなかっただろう。