モグラくんと白線識別

モグラくんと白線識別

モグラくんは配管を通って地上に出て、空を見上げた。
眩しさの中、アイデンティティーが収斂し拡散していくのを感じた。そしてここはものを見たり考えたりするのに相応しい場所ではない、とモグラくんは思った。
今日の空には補助線があまりにも多すぎる。

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大統領は政府が用意した最高のハンバーガーを目の前にして、激しい雷雨となるおそれがあると言った。

大統領は政府が用意した最高のハンバーガーを目の前にして、激しい雷雨となるおそれがあると言った。

「なんにも考えていないように見えるあなたって本当になにも考えていないのね」と彼女は言った。
「ありがとう。それは誉め言葉かな」と僕は言った。
「大丈夫よ」と彼女は言った。そして続けた。「明日は仕事が休みだから」

カミカクシ。

カミカクシ。

僕の夢を見た、という内容のごく短い文章が添えられたポストカードが女のコから届いた。
雨の日の湿気を含んだ、僕が名前を知らない花の束の写真が印刷されたカードだった。

僕が彼女と最後に会ったのはもう5年か7年も前のことで、そのときの記憶はあまりはっきりしていない。
僕たちは駅の地下街のレストランで食事をし、夜の街に同化することもなく、目的もなく歩き回り、僕は適当な時間に適当な場所で彼女をタクシーに乗せ、僕は最終電車で行くことができるところまで行き、そこからタクシーを拾って自分のワンルームマンションの一室に戻ったのだと思う。

冬のことだったのか、夏のできごとだったのかさえはっきりと覚えていない。曜日だって定かではない。たぶん、土曜日か日曜日だ。いや、3連休の真ん中だったのかもしれない。時間はいつも優勢だ。