2017年のからくり。

2017年のからくり。

1987年10月6日は火曜日で、その週の木曜日とその翌日を僕は通り越した。
ジェイ・マキナニーの長編小説「空から光が降りてくる」での話だ。
僕の2018年にはどんな底の見えない仕掛けと見え透いた小細工が待ち構えているんですか?
「急げ、時間と効果がなくなっていくぞ」と耳元で誰かがささやきます。

“「ああ、わかったよ。頼むから、退屈な人種だけにはならないでくれよな」(ジェイ・マキナニー「空から光が降りてくる」、翻訳:駒沢敏器、1997年、講談社)”

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いろいろの秋。

いろいろの秋。

“街へ一歩外に出ると、そこには秋の気配がはっきりとあった。けだるい夏の熱は消え、新品の革製品のような香りが、きりっとした空気の中に流れていた。(ジェイ・マキナニー「空から光が降りてくる」、翻訳:駒沢敏器、1997年、講談社)”

夏のことはよく覚えている。でも秋のことをあまり覚えていない。

僕の娘も双子の息子たちも粘土を使った工作は得意じゃなさそうだ。
双子の息子たちのうちどちらかが創ったベニヤ板の上の立体作品の端っこに「秋」が集まっていた。
僕は小学生のころ、図工の時間が一番好きだった。

マッチ・コレクション/純喫茶「きらく」(神戸・三宮センター街)

マッチ・コレクション/純喫茶「きらく」(神戸・三宮センター街) -1-

マッチ・コレクション/純喫茶「きらく」(神戸・三宮センター街) -2-

マッチ・コレクション/純喫茶「きらく」(神戸・三宮センター街) -3-

マッチ・コレクション/純喫茶「きらく」(神戸・三宮センター街) -4-

たるみ燐寸博物館がオープンした早い時期に譲っていただいた多くのマッチの中に見つけた純喫茶「きらく」のマッチ箱はタイポグラフィーも描かれているイラストも色合いも僕のお気に入りです。
「きらく」は「㐂楽」「喜楽」と漢字で書きますが、「㐂」は環境依存文字なので、正常に表示されない場合は「Unicode 16進:3402 10進:13314 / JIS 16進:2E23 / Shift JIS 16進:3561」で確認してくださいね。漢数字の「七」が3つ集まった漢字です。
「三宮センター街三十年史」に載っている「三宮センター街ガイド<昭和31年1月現在>」と「ゼンリンの住所地図(昭和43年版)」に「きらく」を見つけることができました。
三宮を南北に延びる道路が「フラワーロード」と命名された時期は定かではなりませんが昭和31年ごろは「市電滝道」と呼ばれていたようです。

「三宮センター街ガイド<昭和31年1月現在>」を見ると、三宮センター街を「市電滝道」側から東から西へ歩いて行くと、左手(つまり南側)に後藤書店、星電社、土ヰ手芸品店、あかつき書房があり、三宮センター街1丁目と京町筋が交差するあたりを通り越した右手(つまり北側)に長沢紙文具店(現:ナガサワ文具センター)があり、その西隣が純喫茶「きらく」だったようです。
あかつき書房から見ると京町筋を挟んで斜めに位置にしていました。
後藤書店は2008年1月に閉店しました。ナガサワ文具センターは2007年にジュンク堂書店三宮店3Fへ移転し、リニューアルオープンしました。
先日、三宮へ行った際に撮影した「あかつき書房」の写真と共にここに、そして個々に残しておきます。

マッチ・コレクション/門書店 – 神戸・元町5丁目

マッチ・コレクション/門書店 - 神戸・元町5丁目 (1)

マッチ・コレクション/門書店 - 神戸・元町5丁目 (2)

マッチ・コレクション/門書店 - 神戸・元町5丁目 (3)

背には黄色で”古書の御相談は当店へ!”、片面には”元町五 門書店”、もう片面には白く”Le Livre”と印刷されたマッチ箱があります。
「書物・書籍」という意味のフランス語”Le Livre”の部分をじっくりと見ると、”Le”と”Livre”のうしろにそれぞれ黒く”s”の文字が追加されてることに気がつきます。
“Le Livre(発音:ル・リーヴル)”と”Les Livres(発音:レ・リーヴル)”。
単数形と複数形の同時に配するというなかなかうまく考えられた遊びに”すんばらしいー”と僕は心の中で叫んでしまったのです。膝などは打たない。

「門書店」は「かどしょてん」ではなく「もんしょてん」と読みます - と書きながら、僕も手掛かりをつかむまで「かど」か「もん」かわからなかった -。
「門書店」はかつて神戸・元町5丁目にあった古書店なのですが、どのような店舗であったのか僕はマッチのラベルから想像するしかありません。マッチのラベルに描かれていたような店舗だったのかもしれません。

「神戸70s青春古書街図(野村恒彦、2009年、神戸新聞総合出版センター)」には”「門書店」の看板は今もあがっている。しかし、残念なことにお店の方は営業されていない”と書かれているのですが、2009年の刊行なので、それから8年後の2017年にその看板が残っているかどうかを僕は確認を怠っていますね。
この本の中では「門書店」は「神戸市中央区(生田区)元町通4丁目」にあったとされ、元町通3丁目にあった「こばると書房」が”古書店にしては珍しいことに、店の名前が入った年間カレンダーやマッチも作っていた”と書かれていましたが、古書店のマッチは案外あるんです。

「神戸の古本力(編集:林哲夫・ 高橋輝次・北村 知之、2006年、みずのわ出版」には”その前、現在、新開地より元町5丁目に店舗を卜居した「もん書店」の前身も…(以下省略)”と書かれていました。
ということで、おそらくこのマッチは新開地から元町に移ったころにつくられたのでしょう。

神戸-元町間にはかつて多くの古書店がありました。
今でもいくかの古書店が残り、新たな古書店も誕生しています。

2017年11月27日に開催された第2回都市三宮再整備推進会議で「新たな中・長距離バスターミナルの整備に向けた雲井通5・6丁目再整備基本計画(案)」が公表されました。
この再整備には三宮駅前の南東、やや離れたところ – 雲井通5丁目 – に1981年にオープンした複合施設「サンパル」とその周辺の地域が含まれているようです。
この「サンパル」の5階フロアに8つの古書店が集まった「古書店のまち」ができたのは1986年のことです。
「古書店のまち」がオープンする直前の工事中の5階フロアを見たことがあることをふと思い出しました。
「古書店のまち」はもうありません。

* blog内、全て敬称略です。

多数派の過ごし方

多数派の過ごし方

“僕も毎朝僕自身のねじを巻いています。ベッドから出て歯を磨いて三十六回くらいコリコリとねじを巻きます。(村上春樹「ノルウェイの森」、1987年、講談社)”

断っておくが、僕は思い込みを含めて熱っぽく語ることができるくらい村上春樹の熱心な読み手だけれど、長編小説「ノルウェイの森」だけを好きになれない。けれどもその理由を100字以内で書き残すことはできない。「ノルウェイの森」のファンの方には申し訳ない。
いつもより少しばかり早起きの僕は巻くことのできないねじを抱えながら、落ち葉の海を見るために少し遠くへ出かける。

* blog内、全て敬称略です。