
先日、銀行の店舗内ATMで6788円を引き出そうと、キャッシュ・カードを入れてタッチパネルから暗証番号を入力し、人差し指で「6」「7」「8」「8」と順に触れていった。
確認画面が表示され、僕はタッチパネルの「OK」に触れる。
紙幣側の機械からいつもの通り、出力前の枚数チェックを行う音がする。続いて硬貨の出力を行うためのチェックが始まり、いつも通りの音がする。
いつもの変わらない孤独なATMの光景だ。そう思っていると、再び紙幣をチェックし始める音がして、硬貨をチェックする音が聞こえる。孤独なATMと向かい合う寡黙な時間。
タッチパネルには「お手続きをしております。しばらくお待ちください」の文字が相変わらず表示されていた。
紙幣と硬貨の出力準備が完了した機械音がすると同時に、やり直しをするかのように紙幣のチェックが始まると僕は不思議に思う。
「お手続きしております。しばらくお待ちください」という表示が続き、ATMがなにかに戸惑っている。
タッチパネルは「只今、お取り扱いできません」と3秒ほど表示して、再びの再び、「お手続きをしております。しばらくお待ちください」を表示し、紙幣と硬貨の出力準備を始める。
「只今、お取り扱いできません」「お手続きをしております。しばらくお待ちください」が繰り返される。
どこまでいったら終わるのかと思ったころ、キャッシュカードが出て、TOPメニューに戻る。1000円冊6枚と788円分の硬貨はどうなってしまったのだろうか。
通帳記帳をして6788円が消滅していないことを確認して、別のATMで1000円札6枚と788円分の硬貨を出力させる。
「こっちのほう空いとうから、こっちつかったらええんちゃう」と高齢の女性の声。
「あかんねん。わたし、指紋認証ちゅうから。このひと待っとたら5年かかるわ」とその女性の母親らしき声が荒々しく聞こえた。「とっとと行こ!」
いつもの変わらない神戸・垂水の光景だ。