


神戸・三宮で「ハイウェイ」と言えば、1932(昭和7)年に創業し、谷崎潤一郎が命名したとして知られるレストラン「ハイウェイ」で、そのマッチ箱は洋画家の小出楢重が手掛けた汽車の絵のデザインである。
古川緑波の「ロッパの悲食記」に収録されている「神戸」の章には次のように書かれている。
“ユーハイムを出て少し行くと、ハイウェイがある。これは戦前からのレストオランで、もとの場所とは、一寸違うが、すぐ近くで開店。又最近、北長狭通へ移った。きちんとした、正道の西洋料理店。戦時は、大東グリルという名に改めた。”
ここでも「ハイウェー」表記ではなく「ハイウェイ」なのだが、トアーロード、北野町とお店を移転しながら、神戸市中央区下山手通4丁目に落ち着いたとすれば、創業当時”Highway”は「ハイウェイ」と片仮名表記されず、”ハイウェー”で、マッチ箱のデザインも汽車の絵ではなく、ドット絵のこれだったんじゃないか、などと僕は思ったりしている。
残念ながら「ハイウェイ」は2010(平成22)年12月末に閉業している。