


知ることのできなかった時代というのか、知ることもなかった時代なのか、時が流れていくと記録はなくて誰かの記憶に頼らなければならないことも多くなる。
かつて神戸・元町と三宮の中間あたり、JRの高架沿い山側、トアロードの東に「東亜劇場」という映画館があった。1947年の開館で1963年までに閉館したという。
当時の住所でいうと「兵庫県神戸市生田区北長狭通2」。神戸市に中央区が誕生する(1980年)より何年も前のことである。
その「東亜劇場」の北側にあったのが”FASHION & MUSIC 喫茶「きりん」”。
経木のマッチ箱に貼ってあるラベルには天井が高く、豪華な装飾の室内灯を備えた店の内観らしき様子が描かれているがどんな店だったのかは想像するしかない。
“FASHION & MUSIC”をどのように解釈すればいいのか僕にはわからない。
このマッチ箱は街の記憶と共にいろんな思い出を重ねて大切に保管されていたということなのだと僕は思う。