
村上春樹の2017年の小説「騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編」に次のような文章があります。
“私たちは何かを与えると同時に、何かを受け取っていた。それは限られた時間に、限られた場所でしか起こらない交流だった。やがては薄らいで消えてしまう。しかし記憶は残る。記憶は時間を温めることができる。そして – もしうまくいけばということだが – 芸術はその記憶を形に変えて、そこにとどめることができる。”
燐寸のことを書いているわけではありませんが、燐寸と人との出会いはそのような”交流”なのだと思う。
そして、豊かな経験と知識が特にあるわけでもなく、わかりやすい形で解説するわけでもなく、権威も信頼性もあるわけでもないが、たるみ燐寸博物館が「記憶」を残しいくことができる場所のひとつであればいいなと僕は改めて思う。