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温度勾配

温度勾配

僕は彼のことを「午前の冷たい男」と名付けている。本当の名前は知らない。
知らなくても、僕よりはきちんと仕事を進めていく。
彼が僕の本当の名前を知ってるのかどうか、そして僕をどう呼んでいるのかなどということは気にしない。
午後になると僕は彼から鍵を受け取り、「それ」を監視する作業に入るわけだけれど、まったくもって「そこ」は寒い。「それ」に不都合なことが起こらないように見守るためには「そこ」はとても寒くなければならないからだ。
彼には温度に関する感情表現がないんじゃないか、と僕は時々思う。