「いいか、水切りラックのシンク側のカトラリーポケットにキッチンナイフや長い箸を突っ込むんじゃないと俺が言い続けた結果がこれだ」と彼は言った。「カトラリーポケットに詰め込まれたそいつらの重みのせいで、水切りラックがカトラリーポケットとともにシンクに転落するというのが理由じゃない。カトラリーポケットに差し込まれた長い箸の先端が俺の眼に突き刺さるからだ。加えて調理用のナイフの刃が俺の左手の甲に赤い線を描くからだ。その刺激に対して瞬間的に反応しちまうから、水切りラックに置いたお気に入りのグラスに手が当たって、そいつは床で哀れな姿になっちまったということだ」
空に補助線を...。 