神⼾市中央区布引町にあった「アカデミー・バー(ACADEMY-BAR)」 は2015年12月に閉店し、90年以上の歴史に幕を閉じ、周辺の再開発のため2016年2月に解体されました。
この「アカデミー・バー」は洋画家の小磯良平や石阪春生、詩人の竹中郁、作家の谷崎潤一郎、佐藤春夫ら、文学・学問・芸術などの分野で活躍した多くの神戸ゆかりの人たちが通ったことで有名です。
店内にはそういった人たちが絵を寄せ描きした壁画があって、神戸市に寄贈され、修復されて公開されました。
僕も気になっていたのですが「アカデミー・バー」を訪れることはなかったし、神戸ゆかりの美術館で2017年4月8日から6月25日まで開催された企画展「アカデミー・バーの壁画を描いた作家たち」に行くこともできませんでした。
そして先週、たるみ燐寸博物館にある「会社・食堂・支那料理」と背表紙に書かれた分厚い「燐票蒐」の中に「アカデミー・バー(ACADEMY-BAR)」のマッチラベルを見つけることができると僕は思っていませんでした。
アルファベットの羅列の中に”academy tea room & bar kamitsutsui kobe japan”と赤い文字が埋もれていました。
“kamitsutsui”とは「神戸市中央区(かつては葺合区だった)」にある「上筒井通」だと思います。灘区がすぐ東隣にあります。
「アカデミー・バー」は1922(大正11)年に神戸市灘区王子町にあった関西学院の西側(当時の関西学院の正門は西側にあった。後に西宮・上ケ原に移転)に「アカデミー」という店名で開業後、1936(昭和11)年頃に三宮へ移り、第二次世界大戦後に布引町に移転したとありますので、布引町に移る以前のマッチに貼られていたラベルなのかもしれません。
まあ、このマッチラベルは”神戸の文化史として重要な史料”となりそうにもありません。