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雑文

雲端(くもべり)

雲端(くもべり)

エレベーターは32階に到着した。
エレベーターを降りると僕は白く長い壁が続く廊下を端から端まで歩いてみた。しかしドアも窓も見つけることはできなかった。

継ぎ目のない壁。継ぎ目のない床。継ぎ目のない天井。

廊下の壁と天井と床が光を放ち、僕は壁の白さに目を閉じる。
まぶたを通して光が体中に侵入してきそうに思えた。
痛みが増した。
僕は壁に手を当てて、隠されたドアか窓がないものかと調べてみる。

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