人工島にある兵庫県立こども病院からの帰りに僕と双子の子供たちはポートライナーに乗っている。
前の席にいる彼らに話しかけるためにカラダを前に傾けていた座っていた僕に、途中から乗って左側に座った誰かが肩を軽くたたく。「お元気ですか?」と。
僕はその誰かを見る。度の強いめがねをかけた知らない顔の男だ。僕は年齢を推定することに妥当な結果を得たことがないので、無駄なことはやめて、僕は反射的にうなずく。
そして、彼はしばらくして誰もいない空間に向かって言った。「そうゆうて、先に帰ったらあかんやろ。トラブルなんやから」と。
僕はコンピューターの仕事に関して、就職してから今までそのようなことを言われた経験はないと思う。トラブルが解決するまで帰ったことなどない – 帰れなかった -。ユーザーが望み、駆り出された場合は特に。
それに応えてきたというのが僕のやり方だったと自負したい。
コンピューターのトラブル対応というのはユーザーにも社内の営業部門にも – それ金銭的な問題を内部に含み持って – 嫌われた時代があった。それは変わっていないのかもしれない。
時間のかかるものはかかる。絶対に必要な時間は逼迫する残りの時間として存在するのだ。
対応に要する時間は必要な分だけ必要だ、と僕は思った。
雨を避けるために雨のかからない場所でしばらく待つことを必要とするほどの雨ではなかった、そんな木曜日。