“痛みとか怒りとか、失望とか諦観とか、そういう感覚も今ひとつ明確に知覚できない。かろうじて彼にできるのは、そのように奥行きと重みを失った自分の心が、どこかにふらふらと移ろっていかないように、しっかり繋ぎとめておく場所をこしらえておくくらいだった(村上春樹「木野」/短編小説集「女のいない男たち」、2014年、文藝春秋)”
まだ僕は「騎士団長殺し」に到達していない。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を2013年のどこかで僕が読み終えてから、それ以降に刊行された「女のいない男たち」を手にしたのが2017年4月で、しばらく前に読み終えた僕は次に「職業としての小説家」を読まなければならない、と勝手に決めつけているので、「騎士団長殺し」はまだ遠い。
しかもその間にスティーヴ・ハミルトンの「ニック・メイソンの第二の人生」とジェイ・マキナニーの「空から光が降りてくる」が入る。
優先順位を変えないのか、と僕に訊かないでほしい。
「騎士団長殺し」が文庫化されるのを待っているわけではない。
プライオリティの問題ではない、ある決まった、(単なる)順序があるだけだから。
* blog内、全て敬称略です。