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モノ 雑文

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阪急沿線のどこの駅だったのか僕にはもう思い出せない。
トンネルを抜けると小さな公園があって、彼女の家はその公園からもう少し歩いたところにあるらしいのだけれど、僕はそこまで行ったことはない。
どれくらいの規模のトンネルだったのかも憶えていない。
いつも、その公園が彼女と僕が別れる場所だった。ただそれだけのこと。

そんなデートは長くは続かなかったし、そんな時間と時代はもう随分と昔に残して消え去りつつある。

絶版になった出版物にも似て、もう入手することもないけれど、昔の僕が少しでも救われような「今の僕」になったかと訊かれると、僕にはわからない、と言葉を返すことになる。