神戸市内の東部に比べると、西に位置する垂水は山と海がもっと接近しています。それほど高い山はないけれど、山を下れば、もう海がそこまで迫っています。
垂水には漁港があり、漁に出るための船が停泊しています。
そこに停泊している船を眺めると、1922年に中央公論に発表された野上弥生子の小説「海神丸」でもなく、講談社から1987年に刊行された谷崎潤一郎の「小さな王国・海神丸」でもない、「海神丸(かんじんまる)」という船が停泊していることに気がつきますが、垂水漁港の船がほとんどが「海神丸」という船名であることに気がつく人はどれくらいいるのでしょう。
小さな漁港かもしれませんが、「海の神」に守られた漁師町としての垂水も存在するのです。