外出時は徒歩での移動が多いので、HEAVY METALやALTERNATIVE ROCKをヘッドフォンで聴くのだけれど(スピード感とリズムがないと歩くという行為に僕の場合、支障が出る)、自宅にいるときには時々、ミニマル・ミュージックや環境音楽を聴きたくなる。
2012年6月26日のblogに書いた「Philip Glass/Koyaanisqatsi」はやや難解で(私見です…)、シンプルな「ミニマル・ミュージック」ではない。それに比べると、MDG(Musikproduktion Dabringhaus und Grimm)というレーベルから2010年にリリースされた「Philip Glass/How Now」は1968年と1969年からのフィリップ・グラスによる3つの非常に初期の作品を、作曲家としての栄える経歴を持つピアニスト・Steffen Schleiermacher(シュテファン・シュライアーマッハー)がオルガン、そしてピアノのみで、すばらしく美しい音響空間を創り上げている。
といっても、フィリップ・グラスの初期作品には純粋な意味での「ミニマルな世界」があり、そのほとんど変化しない旋律を快楽に変えられるかどうかは、個々の問題であって、このアルバムを全ての人にお薦めするわけではない。
どんな音楽にしても、曲の始まりがあり、そして始まったと同時に終わりに向けて、物語を紡ぎ、終わるものだけれど、環境音楽やミニマル・ミュージックはどこで始まって、どこで終わっても差し支えがない、どこから聞き始めて、どこで終えようが気にならなず、そこに物語性を見いだすことは、円周率と同じほど無意味なことのように捉えられがちで、「いや、そうじゃなくて」的な説明を試みようとする僕は失敗に終わる。
まあ、難しいことは抜きにして、「そこに快楽を求められるかどうか?」ということで、聴けばいいわけで、説明は必要ないですね。
さて、そのMDG(Musikproduktion Dabringhaus und Grimm)というドイツのレーベルはとても独特なアルバムをリリースしており、僕なんて、リリース一覧を見ただけで、「すごいな」と感心してしまう。
ここまで徹底した作品をリリースできることが不思議なくらいだ、と思ってしまう。