山口県山陽小野田市にある旧小野田セメント工場内のセメント焼成用竪窯のうち、1基目は1883年に完成した。
その説明看板に「この炉から生産された第一号のセメントで垂水の灯標が造られた」と書かれている(僕が確認したわけではありませんが、文献にはそのように書かれている)。
国産セメント使用のコンクリート建造物として日本最初のモノが、垂水の灯台(平磯灯標)として残っている。
さて、この垂水の灯台とイギリス人作家、ウィリアム・サマセット・モーム(William Somerset Maugham)との関係は既にweb上にいくつも書かれ、見つけることが簡単な「逸話」で、もう「逸話」という範疇を超えたところに位置するので、詳しいことは検索していただくこととして、彼の短編に垂水区の福田川近辺とこの垂水の灯台(平磯灯標)を題材にした「A Friend in Need」というものがある。
アメリカの雑誌「コスモポリタン」に1924 – 1929年に発表されたようです。
この短編は「コスモポリタンズ モーム・コレクション(1994年、翻訳:龍口直太郎・小池滋、筑摩書房)」では「困ったときの友」、「EQ」という「Ellery Queen’s Mystery Magazine」との特約で光文社から発行された隔月刊誌の「1984年7月号/第40号」では「採用条件(翻訳:高見浩)」という邦題で掲載されているらしい(光文社の日本語版「EQ」は1999年7月号/第130号をもって休刊している)。
日本語のタイトルとしては「採用条件」のほうが個人的には気に入っているのだけれど、ね。