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神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)

神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)/研究資料と小冊子「建設アルバム」(1) 神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)/研究資料と小冊子「建設アルバム」

神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)/扉絵「ポートタワー画像」(2) 神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)/扉絵「ポートタワー画像」

神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)/第3章「鉄骨」(3) 神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)/第3章の2「鉄骨」

神戸にあるポートタワーをいつどの位置からどのように写真撮影すれば、最も魅力的な「画」になるのかについて考える人がいるとすれば、僕もそのひとりだ。

ポートタワーの建つ真下から、見上げるように撮ると、アルファベットの「M」を組み合わせた鋼管構造の鉄骨をまとったポートタワーが織りなす幾何学的な模様に魅せられる。
遠く離れて山側からポートタワーを中心に撮ると、神戸港を背景に美しい「鼓(つづみ)」の形に魅せられる。
海側からポートタワーを撮影すれば、山麓を背景に赤く目立つタワーはアルファベットの「M」を組み合わせた鋼管構造を忘れさせる姿に魅せられる。

そして、陽光を受けて、日時計のように半円の影を描くそのポートタワーは夜になると、控えめな光を放、また時に光に照らされ、ライトアップされる。

「神戸ポートタワー」というこの書物は1964年9月に社団法人神戸港振興協会の編集により「非売品」として発行された。
おそらく、関係者のみに配布されたモノだと思う。
多くの図面と写真が収められている。

「設計管理を担当して」という本章に入る前の序文に以下のような記述がある。

“このタワーはこれができ上がってしまった現在では、ただそれだけのものかも知れませんが、このような象徴的な建造物でありかついままでに例のない構造の建物でもあるだけに…(以下省略)”

「ポートタワー建設の構造について」という序文では次のように述べられている。

“いざ建設に当って、大きな問題となったのは、高さとデザインである。(中略)
しかし、中突堤のような狭隘な敷地では、基礎幅の関係上、構造的にみて100mの高さを限度とせざるを得なくなった。
全体のデザインに対しても、専門技術者より各種の優秀なアイディアが出されたが、結局純粋のデザイン上からよりもむしろ、構造的に非常にすぐれた鋼管構造を採用したことにより、必然的に現在の優美な2次曲線断面を持つ、つづみ型のデザインが決定されたのである”

さて、この「神戸ポートタワー」と題する資料は「地質調査」「風圧力」「振動性状」「構造」「基礎」「鉄骨」「仕上げ」等の論文・報告等をまとめた書物で、共同執筆ながら、「鉄骨」の章に僕の父の名前がある。
父がその章のどの部を担当したのかは不明だが(過去に訊いた覚えがあるような気がするが、失念…)、ページの右下に自然にできたとは思えない三角に折り曲げられた箇所がある。

“ポートタワーは、その形状・骨組・構成材料・部材の結合などにおいて、従来の鉄骨工事に前例のない、きわめて斬新な方式を用いた特殊構造物であるため、(中略)
ここに、本工事の製作・溶接ならびにボルト本締めを主体とした記録的なものについて述べる。
ふり返ってみれば、施工面でさらにいくつもの工夫改善の要も痛感されるが、この報告が今後のこの種工事の参考になれば幸いである。”

と書かれ、以降は鉄骨の専門用語が並び、その道に全くの知識がない僕には内容を理解することは不可能である。
僕には知らないことがあっても、世界はある程度、うまく動き続けるものなのかもしれない。

スクラップ&ビルドは簡単なことだけれど、また運営・経営を放棄して廃墟となるのも簡単なことだけれど、ポートタワーが神戸市民、神戸を愛する人々には今後もあたたかい目で見守られ続けることを、そして研究・設計・建設・工事に携わった人々、それを支えた家族や大勢の人たちの労力の集大成であり続けること祈り、また記憶にとどめていただければ、僕としては嬉しい。

2011年5月16日、ちょうど1年前、僕は父に施されている医師の手による心臓マッサージの中止を告げた。母は「中止」を告げることができず、弟は職場から駆けつけたが、父の最後の時間には間に合わなかった。

「神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)」への7件の返信

突然のメールスイマセン。
子供の夏休みの工作に 神戸ポートタワーを割り箸で作りたいと思い 
参考資料を色々探しておりましたら、こちらのブログにたどり着きました。
掲載されております「神戸ポートタワー/建設の資料」はどちらかで閲覧可能でしょうか?
もし差し支えなければ、教えて頂けますでしょうか?

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市内図書館に問い合わせし、発見できました!
ろくに調べもせず、メールしてしまいスイマセン。

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會澤さま、こんばんは。
解決しているので、蛇足となりますが、神戸市内であれば中央図書館で閲覧できますね。

非常に専門的な資料なので、お役に立てるかどうかわかりませんが、69ページあたり、157ページあたり、190ページ以降が役に立つのではないかと思います。

無事、割り箸の神戸ポートタワーが完成するといいですね。

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学校の文化祭で神戸ポートタワーを急遽作らなくてはならなくなってしまいました。少しでも精巧に作りたく図面を探していたところ貴サイトを見つけさせて頂きました。もし、よろしかったら図面の画像を頂けないかと思います。検討のほどよろしくお願いします。

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波多野 さま、こんばんは。

非常に専門的な資料ですが、設計図は含まれていません。神戸ポートタワーの設計計画や構造設計図面しか含まれていません。
また設計は日建設計工務株式会社(現・株式会社日建設計)が手がけたもので、詳細は公開され体なのだと思います。

この「神戸ポートタワー/建設の資料(社団法人神戸港振興協会)」は神戸市内であれば中央図書館で閲覧できます。

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